昨日まで「Citizen-led Innovation – Pilot Project : 障がいのある子どもの境界をリデザインする」に参加していました。この企画は、福岡とデンマークの共同プロジェクトで、市民生活に関する様々な課題をテーマに扱う予定だそうです。福岡側は「福岡地域戦略推進協議会(略称:Fukuoka D.C.)」、デンマーク側は「Dansk Design Center」が主体となり、「RE:PUBLIC」がオーガナイズしています。
“福岡、コペンハーゲンの市民生活に共通する課題を取り上げ、共同でリサーチし、革新的なアイデアを導き、ビジネスの創造を通じて解決する。この一連の取り組みに、市民がオーナーシップを持ってチャレンジし続ける活動を指します。”(サイトから引用)
その第一弾が障がい児に関してだったそうで、今回のイベント主催者の一人、内田友紀さんと一緒にランチを食べていた時にイベントの話題になり、前日までFVMビッグマーケット2014で講演するために福岡に偶然いるタイミングだという事で、初日の午後に登壇する事になりました。
最初のスピーカーは遠藤謙さん。彼はソニーコンピュータサイエンス研究所アソシエイトリサーチャーという立場で義足の研究をしています。彼が紹介していた、米マサチューセッツ工科大(MIT)のヒュー・ハー教授は10代にして登山の天才と言われていたそうですが、若くして登山事故で凍傷により義足になったそうです。ただ、そんな事は全く気にせずに「足がなくなった分、軽くなったから義足の方が早く登山できるようになった」と言って登山を続けたそうです(ヒュー・ハー教授のインタビュー記事)。そのプラス思考には私も驚きました。
次は私の話。友紀さんから、「とにかく大木君のしている事は、そのまま私達のプロジェクトがしたい事みたいなものだから、やっている事を好きなように話して!」と言われていたので、なんで手話の会社を始めたのか、なんで手話が大好きなのか、なんで手話じゃなきゃダメなのか、を思いのまま話しました。私は障がい者に関わる事業をしているのは事実なのですが、入口が「手話が大好き」だったので、一般的な障がい者支援者とは少し違った視点、考え方を持っているみたいで、会場の方にも新鮮に受け取ってもらえました。「大木さんが手話が大好きなのが良く伝わりました」とコメントを頂けたので、こんな活動家もいます、というのを知ってもらうという自分の役目は果たせたかと思います。
二日目に入り、ゲストスピーチ三人目はバリアフリーを扱った福祉情報番組『バリバラ』チーフプロデューサーの日比野和雅さん!シュアールも元々は手話の娯楽番組を作っていた学生ボランティア団体から始まったので、バリバラを作った流れや目的など、とても共感しました。ある企画で「健常者が笑われている状況を作りたかった」と言っていましたが、シュアールの最初に製品、手話ポッドチャンネル内でも「聴者が笑われている状況を作ろう」というコンセプトで作ったコーナーがあったので思わず笑ってしまいました。
NHKという大きな組織で、こういった新しい事をするのって大変だっただろうと思っていたのですが「内部向け資料は真面目に書いて、しれっと通した。問題は徐々に話題になっていき、幹部が内容を知った後です。冷汗」と裏トーク。流石です、この人は本物ですね!
とにかく、この二日間の熱量は凄かったです。障害のある子どもを持つお母さんの相談サービス「プリズム」理事長の中村洋子さんはイベント初日の帰りに電子マネーを持ってくるのを忘れたので、私のスピーチを思い出して、バスの運転手さんに聞こえないふりをして特急の回数券を買う事を思いつき、実際に体験をされたそうです。
また、幼児向けの運動塾「MIKIファニット」を運営されている太刀山美樹さんはロンドンの幼児番組に普通に手話通訳が入っていた事を思い出して、こういった形で幼少期から自然と手話に触れていれば「手話も、障がいも、当たり前と周りの子も育ってくれるだろう」と、その写真をFacebookで皆さんにシェアしてくださいました。こういった行動力に力強いパワーを感じました!
「出来ない事は、もういいです。新たに出来る事を増やす方が全然いい。」
永野明さんの言葉です。彼は、幼いころから脳性まひにより下半身が不自由なプロハンドサイクリストの選手です。これは何も障がい者の方にだけ言える事ではありません。私だって、これ以上に身長は伸びないだろうし、これ以上に若くなる事は無理だし、これ以上鼻を高くするのは難しいです。だったら、今からでも出来る事、伸ばせる能力を鍛える事に集中した方がより良い人生になりますよね!素晴らしい言葉だと思いました。
彼は障がい者でもプロのスポーツ選手になれるという夢を多くの子供たちに持ってもらいたいという想いで、自らプロスポーツ選手として活動している体現者です!2年半後のリオデジャネイロパラリンピックを目指しているそうです。応援しています!
「福岡は障害者雇用率8%を達成する」
そして、福岡が目指すべき方針として「アジアで抜きに出て障害者雇用を推し進めて注目を集める事が必要だ!」との声がありました。日本の法定雇用率が2%であり、実際には1.7%程度だという事を考えると8%は驚異的な数字です。けど、ここで集まった人の目は諦めとは全く逆で、とても輝いていました。それくらいの目標を掲げないといけない!と心から思っている人たちの集まりだからでしょう。
とにかく、私がパワーをもらいました。皆さん、二日間に渡りお疲れ様でした!シュアールも九州進出して早4ヶ月、これだけ多くの仲間に出会えた事を嬉しく思っています。これからも一緒に頑張りましょう!
二日目の最後にゲストスピーカーの集合写真!バリバラの日比野さん、ソニーの遠藤さん、そして、たまたま居合わせたジョンさんの四人!楽しい時間をありがとうございました。これからも宜しくお願いします。
実は、イベント初日は私が昨年スピーチをしたTEDxFukuokaの日でした。シュアールの福岡進出のきっかけともなったイベントですので終わった後に顔だけでも出したいと思い、少し本イベントを抜けて、今年のTxFの懇親会に出席しました!昨年のTxFで出会い、今となっては盟友の佐賀県庁職員円城寺雄介さんや昨年から引き続き頑張っているスタッフの皆さんと再会の一枚!(……って言っても、普段からちょくちょく会っているのですが。笑)
昨年の私のTxFのスピーチです。遠隔手話について語っています!是非!
追記(2014/02/26):
今回はデンマークとの共同企画だという事でしたので、私が大学3年生の時に行ったデンマーク視察の記事をリストしておきます。
2009/09/14 デンマーク1日目 (デンマーク到着+羊)
2009/09/15 デンマーク2日目(エルシノア市行政+世界遺産クロンボー城)
2009/09/16 デンマーク3日目(障害者特殊教育施設+統合デイケア施設)
2009/09/17 デンマーク4日目(成人障害者通所施設+高齢者アクティビティーセンター+フレデリクスボー城)
2009/09/18 デンマーク5日目(高齢者ケアセンターと介護実技演習)
2009/09/19 デンマーク6日目(ボートツアー+デンマークろうあ連盟+コペンハーゲン観光)
2009/09/20 デンマーク7日目(心霊現象+帰国)