日本手話学会第38回大会参加報告

7/7(土)、7/8(日)と日本手話学会 第38回大会に参加しました。今回は地元群馬での開催だったので実家から通えてラッキーでした!日本手話学会は既に今年で38回目を数えますが、群馬での開催は初めてとの事。例年は秋に開催されている大会ですが、今回は異例の夏開催でした。
学会員になって以来、4年間で3回出席していますが(母校、慶應義塾大学で開催された2010年大会のみ欠席)、毎回参加する度に手話の奥深さと面白さを感じます。研究自体のレベルもどんどんと高まっているのだと思いますが、私自身の手話力も高まっている(はず…な)ので、感じる事が少しずつ変わってきています。

まずは田門浩氏(弁護士)の基調講演から始まりました。田門さんには、以前も神奈川県手話通訳者養成講習会で講演をして頂きました。田門さんは、日本に8人いるろうの弁護士の1人で、手話言語法(仮称)制定事業実務者会議委員でもいらっしゃいます。年間で約60名のろう者の相談を受けているそうで、これまでに約900人くらいのろう者の相談を受けてきたそうです。田門さんからは聴覚障がいに関する基本的概念から聾教育の歴史、そして法律の変化などを講義して頂きました。

末森明夫氏(日本手話学会副会長)が発表した『日本聾教育黎明期における指文字及び手真似文字の系譜』、とても面白い物でした。現在使われている大曾根式指文字以前に考案された指文字の貴重な資料を発掘、分類しています。質疑応答では研究手法に関して言語学的な問題が指摘されておりましたが、着眼点は素晴らしい研究だと思いました。
いつもお世話になっている森壮也氏(アジア経済研究所)と數見陽子氏(NPO法人手話教師センター)の『日本手話におけるRS(Role Shift)を含む文の統語構造』の発表は、内容自体は興味深く、理解しやすいものでした。しかし、ロールシフトで文法上非文になる部分の手話映像を見ても、違いが解読できませんでした…。まだまだ修行が足りません。。あのレベルの発表がきちんと理解できるように勉強を続けたいと思います!
神庭真理子氏(東京大学大学院/日本学術振興会)、砂田武志氏の『日本手話における頷きの分類の試み』も興味深い発表でした。

1.大学に合格したら、勉強に励む。
2.大学に合格したから、勉強に励む。
3.大学に合格するために、勉強に励む。
4.大学に合格しても(なお)、勉強に励む。

上記の4つの文章は、全て同じ手話の形で表すことができます。違いは頷きの角度や位置で表現できるという発表でした。強く表出されているものは私にもわかりましたが、曖昧なものの解読はかなり厳しかったです。本当に小さな動きの違いで意味が変わってくるのは手話の特徴だと思います。更に森さんが指摘していた「頷き」と「眉上げ」の違いは、今後の研究でキーポイントになってくる部分だと思いました。

改めて、自らの勉強不足と手話の奥深さを実感出来た二日間でした。勉強に対するモチベーションもかなり上がりました!来年は三重県で、2013年10月中旬ごろに開催される予定です。それまでに更に学び、手話力を身に付けたいと思います!


高崎駅にいた巨大だるま。2012年8月4日(土)、5日(日)は第38回高崎まつりです(こちらも38回?!).

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