私が2008年11月に創業し、代表取締役を務めている株式会社シュアールは、サンクスラボ株式会社と株式取得に関する株式譲渡・株式引受契約を2021年8月に締結し、同月に開催した株主総会に伴い、サンクスラボの連結子会社となり、サンクスラボグループに参画しました!
シュアールを創業したのは私が大学2年生の時でした。授業課題として事業アイディアを考え、それを実現するために起業することにしました。マクドナルドの白楽駅前店で共同創業者となる、ろう者の人と相談したのを今でも鮮明に覚えています。
創業時に最も解決しなければならない社会課題として考えていたのが「ろう者が緊急電話をすることができない」という問題でした。110も119も電話を介して行われるので、電話にアクセスできない聴覚障害者は利用することができませんでした。実際に電話ができない事で通報が遅れ、最悪のケースに至った事例もありました。行政も何もしていなかったわけではなく、FAXによる通報システムなど努力はしていましたが、スマートフォンもモバイルルーターもない、当時の技術では限界がありました。しかし、将来的にタブレットのような小型デバイスが誕生し、どこでも高速インターネットに接続できる時代が来ると大学の授業で学んでいた私は、近い将来、テレビ電話を介して手話通訳者に繋げるシステムを構築し、聴覚障害者が安心して生活できる社会を作れると考え、起業することにしました。その後、海外ではテレビ電話を介して手話通訳にアクセスする電話リレーサービスが既に普及していることもわかりました。
創業前から長い道のりだとは思っていましたが、創業してからは想像を遥かに超える、いばらの道でした。多くの嬉しい事もありましたが、その数百倍の辛い事を経験しました。とても一言では語れないので今回はあえて語りませんが、本当に多くの方に支えられ、社員のみんなの頑張りのおかげで、課題解決に向けシュアールは活動を続けてこれました。
そして、同業者の皆さんや日本財団と共に一つの目標に向かって活動を行った結果、2019年に総務省・厚労省の電話リレーサービスに関するワーキンググループが立ち上がり、私もオブザーバーとして会議に参加することができました。そして、2020年に法案が可決し、2021年から電話リレーサービスが公的サービスとなりました。
日本財団電話リレーサービスにより、聴覚障害者は24時間365日、電話リレーサービスを介して緊急通報が出来るようになりました。それだけではなく、有料ではありますが、ほぼ全ての電話番号に手話や文字を介してアクセス出来るようになりました。
創業時に目標としていた聴覚障害者の緊急電話へのアクセスが実現し、改めて事業の方向性を見直した際に、色々な選択肢がありました。同時にコロナ過という極めて不確実性が高い状況でもありました。
その中で私の決断は、サンクスラボグループへのジョインでした。サンクスラボは沖縄・九州を中心に障害者就労支援を行っている会社で、シュアールとのシナジーも高く、将来性が極めて高い会社でした。彼らと次のステージで聴覚障害者の皆さんにサービス提供したいという想いが強くなり、最終的な決断になりました。他にも声をかけて頂いた会社さんもあり、身に余る光栄でした。
サンクスラボにジョインするまでの13年弱は、一言で語るにはあまりにも長すぎる期間でした。その間に多くの人に期待を頂き、迷惑をかけ、喜んで頂き、失望もさせてしまいました。その連続です。私の力不足で、シュアールのビジョンには共感するが、大木とは一緒に働けないと言わせてしまったことも1度ではありませんでした。本当に申し訳なく思っています。しかし、彼ら一人一人が今のシュアールを作ってくれたのは紛れもない事実です。感謝しかありません。改めて、これまでシュアールに関わってくれた皆さんに感謝を申し上げます。ありがとうございました。
そして、障害者雇用・障害者就労支援というセカンドステージへシュアールを引き上げてくれたサンクスラボの皆さんにも感謝しかありません。
私は今後もシュアールの代表取締役として変わらず、ITを活用し聴覚障害者の生活をよりよくするための活動を続けます。皆様にも、これまで同様、ご支援・ご鞭撻のほどを宜しくお願い致します。